ノルウェーデザイン史

ヴァイキングの工芸力を受け継ぐノルウェーデザイン

ノルウェーはスウェーデン、デンマークと同様ヴァイキングを国の発祥にもちます。彼らノルマン人の先進的気質は積極的な植民活動を起こし13世紀後半にはスカンディナヴィア半島の3分の2、アイスランド、グリーンランドに支配を及ぼすなど最盛期を迎えていました。ノルマンヴァイキングの高い造船技術そしてノルウェーの豊かな森林資源は、多くの優れた遠洋航海に耐えうる船舶を生み出しました。造船の際に重要とされる木材・鉄などの加工技術は職人たちの手により、織物・木工・銀製・銅銀製といった伝統工芸に反映され、美術価値の高い作品が多く作られました。

産業革命で生まれた産業デザインへの意識


イギリスで起きた産業革命の波は、当時後進エリアであった北欧、しかも支配地域(高い自治は認められていましたがスウェーデンの支配下でした)であったノルウェーにもやってきました。豊富な水資源による発電、木材、鉄鋼などの分野で1840年から急速に工業化が始まります。そして国民所得も上がっていくなか都市部において中産所得層が形成されていきます。

デンマーク、スウェーデンに見られた王室貴族階級が積極的に形成されなかったノルウェーにおいて従来の日用品とは美術工芸品などではなく日常に使う品でした。中産階級への供給という大きな需要に対し、ガラス製品・陶磁器などが国外の技術を導入しながら本格的に生産を始めます。やがて20世紀に入りバウハウスが提唱する合理・機能主義によるモダニズムが浸透してくる中、ノルウェーはスウェーデンからの独立の際に盛り上がった民族ロマン主義の影響もあり、国内の伝統的地方文化との調和を大切にしたデザインを提唱しました。身の回りに存在する自然を素材とした簡素で質素ながら機能性を持たせたながらもモダンでシンプルなデザインは、パリ博覧会(1925年)など当時開催された世界博覧会でスカンジナビアモダンとして広く知られることになります。

北欧内で立ち遅れるノルウェーデザイン

戦後は工業化を進めながら外貨獲得のため、カトラリーなどキッチンウェアーの輸出を進めていました。しかし1960年に北海石油が発見されたことで世界第三位の石油の輸出大国となってしまいました。そのため他の北欧諸国とは異なり、そのエネルギー収益を効率よく運用することで国が潤ってしまったのです。デザインを付加価値として工業・産業化に弾みをつけるという政策はとらなかったため、優れたメーカーや作品を抱えながら、北欧デザインの中で影が薄いのは否めないのが現状です。